@TricolorGroupJP おそらく明治から敗戦にいたるまで、日本には「黄色い猿」という自己表象はなかったとおもいます。見たことがないというのもありますが、明治10年代後半のこの絵が当時の日本人の自己表象を表しているとおもわれ、アジアの他国は猿・鬼などで、武士(=ヤマト民族)が支配するという構図になっています。
https://d210zmehzzc323.cloudfront.net/e735167f7c712cd6c21254751fd740aabe2f0e05fc88307a8b4e9c5ac1165878.jpg
敗戦後に、アメリカからの眼差しを内面化することで「イエローモンキー」という自己表象を獲得するのだとおもいます。イエモンの「悲しきAsian Boy」の動画を見ていると最後に(おそらく)去勢パフォーマンスがあるのですが、「管理された動物」としての自己認識がよくあらわれていると思いました。明治から敗戦にかけてこの手の表象は見たことがありません。
https://d210zmehzzc323.cloudfront.net/e735167f7c712cd6c21254751fd740aabe2f0e05fc88307a8b4e9c5ac1165878.jpg
敗戦後に、アメリカからの眼差しを内面化することで「イエローモンキー」という自己表象を獲得するのだとおもいます。イエモンの「悲しきAsian Boy」の動画を見ていると最後に(おそらく)去勢パフォーマンスがあるのですが、「管理された動物」としての自己認識がよくあらわれていると思いました。明治から敗戦にかけてこの手の表象は見たことがありません。
たぶん、日本がひどい植民地主義帝国だったことを知っている人の目から見ると、あのMVは「日本人=コロンブス、ベートーヴェン、ナポレオン」としか見えなくて、いやいや意味わからねぇ正気か?となるんだけど、おそらく本人たちの自己意識としては、日本は猿のほうだとおもう。これはザ・イエローモンキーとかもそうだし、日本のカルチャーのなかでは日本はアメリカの属国的な表象であることがおおく、ポップカルチャーがそういう想像力のなかで仕事をしていると考えると、日本を植民者側だとする想像が働かなかったのだとおもう。
この通りだとすると、問題は次のようになるとおもう
* イメージの操作によって植民地主義表象をポジティブなものに変換するのは、一種の歴史修正主義的な欲求を含んでいる
* おそらく、被植民地化したものとして日本を把握している自己意識があるとおもわれ(猿=日本人説に立つ解釈)、その自己意識は、植民地化された人の鑑賞を排除してしまっている
* イメージの操作によって植民地主義表象をポジティブなものに変換するのは、一種の歴史修正主義的な欲求を含んでいる
* おそらく、被植民地化したものとして日本を把握している自己意識があるとおもわれ(猿=日本人説に立つ解釈)、その自己意識は、植民地化された人の鑑賞を排除してしまっている
おそらく歴史的な知識はそんなに無く、そのかわり、こういったイメージ群が植民地主義的表象であるということの自覚はありそうで、そのイメージを操作して意味をポジティブなものに変えようとするものであるようには見える。それ自体失敗しているとおもうし、植民地主義的な表象をポジティブなものとして作り変えようとするのが、歴史知識に裏付けられていないと厳しい結果になる。
うーん、やっぱりコロンブスのMVは無知から生まれたわけではなくて、知識が欠けたところはあるにせよ、植民地主義的表象はわざとやってるな。
だとしたらけっこう手の引き際は見事で、バカにされることを敢えて引き受けたんじゃないかと思える。
だとしたらけっこう手の引き際は見事で、バカにされることを敢えて引き受けたんじゃないかと思える。
90年代からゼロ年代くらいにかけて、こういうセルフオリエンタリズム的な表象は一旦終息するとおもう。美術のほうで会田誠とかになると海外輸出あんまり考えていなくて、おかけんパロディみたいな内輪ネタやってたのは外からの日本人表象みたいなのを問わなくて済んだからでもある。
名誉白人とイエローモンキーという二つの項目は、「意識の上では西洋人」だけど身体には黄色い猿の特性が刻みこまれているという対比で、鏡を見たときに自己意識と身体のギャップが「イエローモンキー」という認知を生みだす。
1960年代には工藤哲巳がインポテンツを主題に制作していて、それはやっぱり安保的な話ではないかとおもうのだけど(軍事力の欠如=男性的自己実現の失敗)、全共闘の全能感はちょっとすごい。森村とか村上とか見てると基本「失敗した男性」みたいなモチーフが日本人男性という自己意識のなかで系譜づけられるはずだけど、全共闘だけ違っていて迫力がある。
東大全共闘が三島を「近代ゴリラ」としたやつ、「東大動物園特別陳列品」で筋肉とペニスという図で、すごい差別意識丸出しだけど、イエモンみたいな自虐意識ではない。全共闘側が人間として観察し、野蛮な三島が陳列される客体である。
https://gorillamodernism.hatenablog.com/entry/2018/12/22/141534
このへんが、森村泰昌(1951生)とか村上隆(1962生)とか、世代が下ってくるとどこかで自己認識がイエローモンキーになる。吉井和哉が1966年。欧米のアート・文化と自己の身体的・文化的バックグラウンドのギャップが彼らの表現の問題を磁化している。これがもっと世代を下ってバブル崩壊的な世代にもなるとイエローモンキー的自己表象がどこかで無くなるとおもう。
https://gorillamodernism.hatenablog.com/entry/2018/12/22/141534
このへんが、森村泰昌(1951生)とか村上隆(1962生)とか、世代が下ってくるとどこかで自己認識がイエローモンキーになる。吉井和哉が1966年。欧米のアート・文化と自己の身体的・文化的バックグラウンドのギャップが彼らの表現の問題を磁化している。これがもっと世代を下ってバブル崩壊的な世代にもなるとイエローモンキー的自己表象がどこかで無くなるとおもう。
イエモンの悲しきAsian Boy、日本人であることじたいの去勢的蹉跌だとおもうけど、こういう自己表象が「イエローモンキー」ということでもあり、今回のコロンブスとかもあわせて、日本人の自己表象問題として誰か論じてくれないかな。森村泰昌の分析も入れてほしい。
https://www.youtube.com/watch?v=Gr_X-WccMnc
https://www.youtube.com/watch?v=Gr_X-WccMnc
ブクマカみたいなのが、安心してMVを叩いていたのとかすげー嫌なものがあって、それとインテリの読解が同じなのとかも、すごく嫌なものがあるんです。勘で。
ブクマカとは絶対に一緒にされたくない、ブクマカと同じ意見になるなら非倫理的で悪質な意見を採用する。
ブクマカとは絶対に一緒にされたくない、ブクマカと同じ意見になるなら非倫理的で悪質な意見を採用する。
テレビがないからよくわかんないけど、今日というか昨日MステにMrs. Green Apple が出たとのはなしで、イエローモンキーも出演してたとか、なんかその対比はちょっとおもしろいなとおもうんだけど、ある世代まで日本人は「イエローモンキー」という自意識があったよね。このまえ白江さんも言ってたけど。
南川教授が、コロンブスに扮する日本人を見て「名誉白人」と誤用をしてしまったのは、その顔の特徴に「イエローモンキー」を発見しているからだとおもわれ、その「名誉白人」性を告発しようとするのも自身のイエローモンキー性を再確認するためであるように受け取れる。
そういう自己意識が、猿に扮する日本人の表象は見落とすのは、どういうことなんだろう。森村泰昌的な話だ。
南川教授が、コロンブスに扮する日本人を見て「名誉白人」と誤用をしてしまったのは、その顔の特徴に「イエローモンキー」を発見しているからだとおもわれ、その「名誉白人」性を告発しようとするのも自身のイエローモンキー性を再確認するためであるように受け取れる。
そういう自己意識が、猿に扮する日本人の表象は見落とすのは、どういうことなんだろう。森村泰昌的な話だ。
誤用を承知で使ってしまうけど、「日本人は猿ではない」という否認の身振りこそ、「名誉白人」的な振る舞いでは?というのはある。
いやこれは誤用ではないのかもしれず、マーレのエルディア人であったライナーは自身のエルディア性を否認しつづけ、マーレ人であろうとする。それこそ「名誉マーレ人」の意識であり、ガビもこのパターンを踏襲する。自身の人種性を強烈に刻みつつ忘却することこそ、「名誉人種」に特徴的なアイデンティティになるようにはおもわれ、それもここに当て嵌まるような気がする。
猿である日本人と猿ではない日本人があり、「名誉白人」とは後者のことである。
いやこれは誤用ではないのかもしれず、マーレのエルディア人であったライナーは自身のエルディア性を否認しつづけ、マーレ人であろうとする。それこそ「名誉マーレ人」の意識であり、ガビもこのパターンを踏襲する。自身の人種性を強烈に刻みつつ忘却することこそ、「名誉人種」に特徴的なアイデンティティになるようにはおもわれ、それもここに当て嵌まるような気がする。
猿である日本人と猿ではない日本人があり、「名誉白人」とは後者のことである。
例のMVの読解の可能性としては、猿=日本人という読解は可能なはずだけど(そういう解釈はいくつも見た)、教授の読みのなかではその可能性があらかじめ排除されている。「ヨーロッパの植民地主義者たちが島にきて猿にベートーヴェンを教える」とか、それは日本の比喩だと言われても別に不思議ではない。でもこの解釈はあらかじめ排除される。この解釈の排除がいったいなんなんだといわれると、よくわからないんだけど、妙にフロイト的な現象なのでは...みたいなのがある。
朝日の記事で「日本のアーティストが「白人」の偉人にふんするかたちで、以上のような差別的な表現を繰り返したことも問題だ。自分たちを「名誉白人」であるかのように植民者の側に位置づけ、先住民を含む非西洋人を見下すような態度が見て取れる。」と記述があるけど、それを言うなら同時に猿を演じているのも日本人であるはずである。
この記事にはどーしても違和感を感じざるを得なかったんだけど、たぶんこういうクソ細かい部分で違和感があり、つまりここで語っている南川文里教授は、「コロンブス」「ナポレオン」「ベートーヴェン」を演じる「日本人」には反応するが、「類人猿(猿人?)」を演じる「日本人」の存在は無視している(これ演じているのたぶん日本人だとおもうけど、実際には演者の人種はわからないしそもそもMrs. Green Appleのメンバーの人種もわからない)。
この受け取り方は偏っているのだけど、それは「植民者としての日本人」という図式が教授の頭のなかにあるからそうなる。記事における「名誉白人」は確実に誤用だけど、この誤用は、教授自身の「植民者としての日本人」という自意識の投影にほかならないとおもう。
ここで「猿」を演じながら教授に無視されている日本人(おそらく)の存在とはなんだろうということをさっきから言葉にしようとしているのだけど、なにか言葉になりそうでならない。
教授のあたまのなかで、「コロンブス」「ナポレオン」「ベートーヴェン」は「日本人が演じている」と同定されつつ、「猿」はそうでない、ということ自体が、めちゃくちゃ無自覚な人種的意識であるようにはおもう。つまり、教授は、映像が「文明=白人=日本人」という図式を語っていると思っているが、じつのところそれは教授自身の脳内の図式の投影にほかならない。猿を日本人が演じていると思わないのは、日本人を猿だと思っていないからである。
この記事にはどーしても違和感を感じざるを得なかったんだけど、たぶんこういうクソ細かい部分で違和感があり、つまりここで語っている南川文里教授は、「コロンブス」「ナポレオン」「ベートーヴェン」を演じる「日本人」には反応するが、「類人猿(猿人?)」を演じる「日本人」の存在は無視している(これ演じているのたぶん日本人だとおもうけど、実際には演者の人種はわからないしそもそもMrs. Green Appleのメンバーの人種もわからない)。
この受け取り方は偏っているのだけど、それは「植民者としての日本人」という図式が教授の頭のなかにあるからそうなる。記事における「名誉白人」は確実に誤用だけど、この誤用は、教授自身の「植民者としての日本人」という自意識の投影にほかならないとおもう。
ここで「猿」を演じながら教授に無視されている日本人(おそらく)の存在とはなんだろうということをさっきから言葉にしようとしているのだけど、なにか言葉になりそうでならない。
教授のあたまのなかで、「コロンブス」「ナポレオン」「ベートーヴェン」は「日本人が演じている」と同定されつつ、「猿」はそうでない、ということ自体が、めちゃくちゃ無自覚な人種的意識であるようにはおもう。つまり、教授は、映像が「文明=白人=日本人」という図式を語っていると思っているが、じつのところそれは教授自身の脳内の図式の投影にほかならない。猿を日本人が演じていると思わないのは、日本人を猿だと思っていないからである。
特権側の人種の一員として認められるために、努力して特権階級にとって役に立つことをあきらかにしなければならないのが名誉人種。日本人が日本人であることを忘れてナポレオンやコロンブスを演じているのであれば、自身を白人だとおもいこんでいるというだけで、これ自体は批判の対象であるけれども、「名誉白人」とは呼ばれるべきではない。
この手の政策は人種差別が前提となっていた植民地主義ではどこでもあった政策であるはずで、日本が朝鮮支配をするためにも朝鮮のエリートを名誉日本人として立てていたはず。入管問題も、名誉日本人とそうでない人を分けるためのレイシズム政策。
この手の政策は人種差別が前提となっていた植民地主義ではどこでもあった政策であるはずで、日本が朝鮮支配をするためにも朝鮮のエリートを名誉日本人として立てていたはず。入管問題も、名誉日本人とそうでない人を分けるためのレイシズム政策。
名誉人種(めいよじんしゅ)とは人種差別政策を行っている政権・制度下において、本来ならば差別されるはずの人種を、差別されない側の人種として扱う制度である。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%90%8D%E8%AA%89%E4%BA%BA%E7%A8%AE