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ブルジョワ展の図録の論考を読みはじめているけど、やっぱり構成だめすぎるな...。mimiさんのブログ記事でも「「色々苦しんだメンヘラだったけど最期は穏やかになったよ」といった風なストーリーに"仕立て上げられて"います」と指摘があるとおり、第一章に家族におけるトラウマ(副題「私を見捨てないで」)、第二章に抑鬱からの回復(「地獄から帰ってきたところ」)、第三章に家族の関係の修復(「青空の修復」)という体裁になっている。これはかなりひどいというか、ブルジョワの制作活動がある種のセラピーであることは否定しないが、こうして個人の物語に閉じ込めてしまうことで普遍的意義は減じる。
たとえば、父からペニスの欠如をからかわれるという体験は、「父との葛藤」として表象されるというより、「女性として社会化されていることへの屈辱」というより広い文脈に接続できるけど、ブルジョワ個人の物語に還元されることで、こういった文脈が捨てられる。個別具体的な父と子の関係の問題ではないんだけど、そういうのを無視するストーリーテリングになっていて、けっこうひどいと感じる。
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