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松方幸次郎の伝記読みおわった。かなりおもしろかった。松方幸次郎ひいきの視点で描かれているので気をつけて読む必要はあるけど、ひきこまれるところがある。
松方幸次郎のコレクション、ヨーロッパに造船業の視察の際にフランク・ブラングィンのプロパガンダポスターからハマって異常に買いまくったのが最初だけど、本人のつもりではそこで終わりだった。それが、次のヨーロッパ視察の主な目的は、WW1中にドイツがつくった潜水艦の設計図を秘密裏に手に入れるという海軍の依頼だった。そこで幸次郎は「著名なコレクター」という像を煙幕として使ったというのはかなりおもしろい話だった。彼はヨーロッパで美術コレクターとして振る舞いながら、海軍のスパイとして軍事技術の移転を謀っていたという。たぶん購入の軍資金も一部は海軍からでているのだろう。
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松方幸次郎の活動が、コレクターとしても事業家としても二面性に満ちている。アートにはプロパガンダとして人を動員する力もある、というかプロパガンダとアートをたぶん分離することはできない。人を動かすことができるというのはそういう力があるということだ。事業としても、日本の軍事国家化に深くコミットしているのは疑いようがなく、その軍需産業じたいが公共事業としての性格をもっていて雇用を失うまいと奮闘してもいる。