浅井忠の日清戦争従軍スケッチは知っていたけど、「旅順戦後の捜索」という絵は知らなかった。
当時、海外で「日本軍が旅順市民を虐殺した」という報道があり、日本政府は「兵士が民間人の格好をしていたのだ」と弁明していたらしい。浅井はこの絵を日清戦争中の第四回内国勧業博覧会に出品し、死体を描きつつ兵士だったとする政府見解をそのまま提示した。
これについて木下直之は、「浅井に限らず、画家が戦争画に死体を描き込むことを国民は期待したという現実を忘れてはならない」「国民は敵の死体を喜んで眺めたのである」と書いている。
(画像は東京国立博物館より https://webarchives.tnm.jp/imgsearch/show/E0078793)