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進撃の巨人を読みなおして、主人公エレンが排外主義と紐付けられるのだけど、エレンは仲間思いであることはさんざん強調されており、当初の素朴な「仲間」意識を排外主義にまで発展させる作者はけっこうすごいなとおもった。
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父グリシャは民族主義者だが、その息子のエレンは民族主義よりはるかに悪質な排外主義の扇動者になる。
マーレ編に入ってから諌山が描こうとしているのが、同一民族内で違う立場の勢力による相互排除(マーレ内エルディア人とパラディ島エルディア人)で、「単一民族」という民族主義が機能しないような設定を持ち込む。民族的には同一であっても立場が違うから「敵」なのであって、あれこれ理由をつけてもつねに理由にならない。マーレ側では民族差別とか植民地主義とかの話があり、マーレもエルディアも「帝国」であってそのなかで人種差別と同化主義があり、それに対抗するための民族主義がある。そういうのを一気に打ち消すように、エレンの暴力的な排外主義が登場する。このあまりに単純な「友敵」の概念は、マーレやエルディアの人種差別的な言論・装置がイデオロギーにすぎないことを暴露するものの、純然たる排外主義でもあり、イデオロギーに基いていない。