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浮世絵、実物をもってみると、テクスチャーにいろいろこだわりがあって、摺りの技術など調べながら見るのもおもしろい。

黒の上に黒が重ねられ、黒が光の反射を受けて模様になる。正面摺りというらしい。
白の箇所も、色はついていないけど模様があり、これは空摺りというらしい。
「芳年武者无類 平相国清盛」黒の上に黒を重ねる「正面摺り」、白の上に色なしで模様をつくる「空摺り」が施されている。

これは粒子っぽいところがキラキラしている(雲母摺り)。
「芳年武者无類 左中将新田義貞」水面がちょっとキラキラしている。

ちょっと残念だったのは、本の形に合わせて版画本体のマージンと見做された箇所がわりと切り取られているっぽい。マージン部分にこういう版元とかいつ摺ったかとかの情報が記載されているのだけど、これがバッサリ切りすてられていたりする。この絵はかなりマシなほうだけど、画面下はマージンがゼロに断ち切られている。上がたくさん余白あるから上切ってくれればいいのに。
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この小林鉄次郎がこの絵の版元で、江戸期から明治初期に浮世絵を売っていたらしい。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%8F%E6%9E%97%E9%89%84%E6%AC%A1%E9%83%8E_(%E5%9C%B0%E6%9C%AC%E5%95%8F%E5%B1%8B)

版元とか彫師とかの印があり、出版活動や芸術の近代化以前のギルド的な職人意識が垣間見えるのも、すごく興味深い。

今回買ったやつ版画を蛇腹状に貼りつけて画帖の形になっていて、誰が画帖にしたんだろう?とおもうのだけど、明治期の浮世絵のざっとした歴史見ると、メディアの交代期で、明治20年に和本が洋本(活版印刷)に発行部数を抜かれたらしい。
芳年武者无類は明治16〜19年の摺りで、こういう本の形にして流通させてしまうほうが消費者の好みにあう、という思惑が版元にもあったのかもしれない。