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博論書いてた頃に考えてた、現代において使われてる「ブラックボックス」という言葉が指している意味を個人的に整理していた時のメモ

1. 学習が難しいという意味でのブラックボックス
2. 知覚機能が追いつかないという意味でのブラックボックス(トランジスタの中身の仕組みを知っていても増幅する様子は理論でしか知ることができない)
3. 言語にマッピングできない、翻訳不可能性としてのブラックボックス(おそらくこれがサイバネティクスにおける原義と言っても良い)
4. 社会的、ルールによるアクセス不可能性のブラックボックス

結局本題から逸れるしいまいち出展を整理できなかったので本論には入れ込まなかった

ブラックボックスという語はラトゥールとかガンガン使ってる割にetymology的な整理は全然されてない印象はある。STSではTrevor Pinchが最初にBlack boxという単語が使われたのはサイバネティクス研究の祖のひとり、Ross AshbyのHomeostatだという話があってそれを信じてたんだけど、航空機側の話も時期的には同タイミングだなあ。Pinchのも講義録の書き起こしだからどっちが正確かと言われると微妙だ https://www.jstor.org/stable/370279

まとはいえ、サイバネティクスにおける「ブラックボックス」って、科学の絶対的な目標と言ってもよかった「中身が全て観察できれば仕組みがわかって制御できるようになる」を覆して、「入出力の関係さえ把握すりゃ中身はどうでもいんじゃね?」としたのが大きかったわけで、人の作ったシステムがデカすぎて把握しきれんみたいな話とは明らかに別物だとは思う

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個人的には単語がどんなものにもある程度当てはまるから生じちゃう問題で「鶏肉みたいな味」に近しいやつだと思う(wikipediaで個人的に一番好きな記事) https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%B6%8F%E8%82%89%E3%81%BF%E3%81%9F%E3%81%84%E3%81%AA%E5%91%B3

英語版のこの画像いるか?