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「嶋田は「戦後生まれの日本人女性」という自らのポジショナリティに自覚的に制作を継続してきました。すなわち、彼女は「脱植民地化」には自己批判が必須であることを正しく認識していました。それがわかる作品が、《慰安の家》と同時期に作られ、日本人女性の戦争責任を考察した《白い割烹着》(一九九三)です。女性性(母性)の象徴である割烹着に身を包んだ女性の三枚の写真が配列されたコラージュです。その配列は、戦時中の日本人女性の対照的な、しかし本質的に連関した役割を炙り出します。  その三枚の写真は、台所で料理する主婦(左)、兵士を見送る国防婦人会のメンバーたち(右)、男性兵士から射撃を学ぶ女性(中)です。「国防婦人会」は、日本軍の支援を目的に一九三〇年代に設立された女性組織です。お気に入りのスローガンは「国防は台所から」。そのスローガンに表れているように、国防婦人会は様々な家庭内行為を政治化することを通して、日本の帝国主義的戦争を下支えしました。嶋田の《白い割烹着》は、日本人女性の侵略戦争への加担という共通の糸で三枚の写真を結び付けた作品です。」

—『現代美術史 欧米、日本、トランスナショナル (中公新書)』山本浩貴著
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ちょうどナチスのキッチンの一章を読み終えたところだった。