このニュースをみて、林志弦『犠牲者意識ナショナリズム』(東洋経済新報社)にある指摘を思い出した。
「加害者がアーカイブと歴史の物語を支配しているのに対し、被害者には経験と声しかない。否定論者は、そのことをよく知っている。不確かな証言ではなく、確かな文書へのこだわりは実証的否定論を正当化する。ホロコーストを命じるヒトラーの署名入り文書が一通も出てこないから、ヒトラーの責任を問えないという具合である。命令書が空からひらひらと降ってでもこない限り、ホロコーストは生存者の証言ででっち上げられた話だと否定される」(p.291)
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