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『「音」と「声」の社会史』を出す人の論文がここから読めるぞ。おもしろそう

限定された空間とメディアの社会史研究に向けて
─ 刑務所と「新聞」「ラジオ」はどのような関係を結んできたのか─ 坂田謙司

https://www.ritsumei.ac.jp/ss/sansharonshu/2018/544j.html/

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"地域メディアの定義としては,もはや古典とも言える竹内郁郎,田村紀雄の『新版地域メディア』の冒頭に書かれた「一定の地域社会をカバレッジするコミュニケーション・メディア」が全てを語っているように,さまざまな社会的な意味をもつ範域そのものが「一定の」に続くのである1) さらに「一定の」を分解していくと,そこにはなんらかの「限定性」が通底している。つまり,範域は社会の中で自在に変化し得ると同時に,それは「限定された(閉じた)」範域ともなるのである。とは言え,交通網が発達し,多様なコミュニケーション・メディアが登場し,1人の人間が所属する社会的な範域は同時に複数存在する。
(中略)

本論で試みるのは,「限定した(閉じた)」範域を対象としたメディアの社会史研究に向けた新たな展開である。それは,これまでの「地域」という考えではなく,「空間」という捉え方である。この空間をどのように捉えるのかは,先行研究によってさまざまなであるが,ここでは地理的な範域ではなく,日常の生活社会におけるつながりを前提としつつ,メディアで結ばれた限定的空間,あるいは社会的なシステムによって閉ざされた空間と考える。"

"「刑務所」という「限定した(閉ざされた)」空間とメディアの関係には,これまで研究の蓄積が殆ど無い。 そもそも刑務所は刑罰の対象者が生活する空間であり,そこで使われるメディアは管理者から受刑者への伝達という管理目的。あるいは,検閲など一定の条件下で交わされる,受刑者と家族等の極めて限られた外部の人間とのコミュニケーションである。その研究視点は当然ながら管理者視点であり,受刑者の権利保護や更正処遇における問題としてメディアが扱われる。また,メディア研究においては,フーコーのパノプティコンが示す空間と身体の監視及び権力作用との重なりで語られるが,刑務所とメディアの関係史やメディア空間的視点での研究は少なくとも国内では行われていない。"

なるほど、おもろいな