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BT アメリカの大学はある意味政府に頼れないですから、文書管理はしっかりしており予算もかけてると評判は高いですね。

アメリカの軍産学複合体への評価については、まず軍と軍産学複合体を少し区別する必要はあるかと思います。
軍自体を否定することは、アメリカが独立戦争で建国しており、市民権と徴兵が表裏一体になっていることからも一般国民にはかなり困難です。ただ、その困難の中からも良心的徴兵拒否や脱走兵(つまり犯罪者となること)を選択する少数派はいて、ヴェトナム戦争の頃はメディアの注目を浴びました。ここまでできるのは宗教的背景のある人も少なくないです(=国家より宗教コミュニティの倫理を選択)。
対して、軍産学複合体となると利権構造の構築による経済的非合理性と非人道的兵器製造の話がくっついてくるので、軍に予算をわたしすぎだ、もっと適切な対象に予算を、のような主張としてそれなりに出てきます。また、キャンパス内では大抵、反対派と賛成派がいます。
今はウクライナ問題で、予算削減されていた軍関係が押し返して予算を増やしてる流れかとは思いますが、それが反転するタイミングもどこかで来るでしょう。

日本の議論でちょっとやばいなと思うものがあるとすれば、軍の組織であるDARPAの広報戦略を真に受けたばかりかちょっと曲解して、「米国のイノベーションは軍がつくった」のように喧伝する人々が一部にいることでしょう。なお、別にDARPAはそこまで言っていないのですが、日本の一部の政治家が勝手にそう考えてメディアで発言してしまう例があります。しかしこれはDARPAの成り立ちとイノベーションのあり方一般を根本から誤解した考え方です。
漠然と根拠としてあげられるのはインターネットですが、そもそも民間に軍の技術が流れたのは軍産学複合体批判と予算削減があったからです。カネに糸目なく予算つぎ込んで秘密の開発を出来る環境でなくなり「役に立つ」を主張する必要が生じたのです。あと、インターネットへの貢献については欧州のCERNやら各方面が主張したいはずで、米国だけの手柄とは言えません。

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とはいえ、最初の技術(アーパネット)は軍関係ではないか、第二次世界大戦中にはレーダーや原爆などすごい発明があったではないか云々と主張したくなる人もいるでしょう。
しかし、ここで戦争の「何が」「どのような」発明に貢献したのかを考えてみるといいでしょう。
戦時中は人の強制的動員と経済的効率を度外視した軍事研究投資がやりやすくなります。当然ながら、前者は従来にない人材同士の接触と新規結合(イノベーション)を触発しますし、後者は豊富な研究資金を可能にします。この条件で新規な発見が行われないわけがありません。つまり戦争中、ある種の研究者と技術者は「恵まれる」のです。
一方、そこにはまらないタイプの研究やイノベーションは明らかに遅延します。そして、何が失われたのか我々は推測することしかできません。
ただ、たとえば女性の健康に関わることや、兵士のメンタルヘルスに関わること(つまり戦争後のこと)の研究や対策が非常に後回しにされてきたことは何か関係があるかも知れません。