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BT 自然科学系の研究者でも過去の科学の古典を吟味して楽しむというタイプの人はいないわけではないし、ニュートンの著作の注釈をしたような人もいる。
また、分野の歴史をまとめておきたいと一念発起して史料を整備してくれる人もいるのだが、確かに多数派ではない。
つまりは科学史に興味を持つ自然科学者はいるのだが、そうした人は主に以下の二種類とみなされる傾向がある。
一つは、己の科学の研究業績はそこまでではないと感じているが、広い視野があったり、教育に関心のある人。
もう一つは逆に分野の創始者のような人。こういう人は過去に同じことをした人の著作を読みたがる。たとえばニュートンなど。そして過去のものから直接ではないにせよ間接的なインスピレーションを得たりする。
大半がその両者の中間で、直近の3-5年くらいを追いかけることで精一杯になる。それで過去の科学に目が向きづらいし。そして、科学者が増え、論文量が増え、情報量爆発と言われる時代になってからはこの種類の人が非常に多くなっているかもしれない。

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ただ、情報爆発の一方で科学の営みが巨大化しているので、科学者でも成功すればするほど、そのキャリアの後半戦には、手を動かして考えたりパソコンの前で自分のデータと格闘する時間以外に、チームに指示をしたり、何かの会議に出たりという時間が増えてくる。つまりいわゆる研究活動以外のことをして研究の方向性を決定したり、あるいは金をもってきて研究の営みを支えるたりする活動のための時間は人社系研究者よりも劇的に増える傾向がある。そうなると今度は科学の歴史に関心を持つ機会はあるようだ。

自然科学者が教養をつけるための国際合宿なるものに人社系枠で参加したことがあったけど、「日本でのこの合宿終わったら欧州に戻ってファンド獲得のための面接と行政関係者とのミーティングして、その後、北米に飛んで共同研究者と会うんだ。合計1ヶ月くらいは家に帰れない」のような猛者がいた。
良くも悪くも工場を各地に複数持つ19世紀のブルジョワ資本家みたいな動き方(あるいは現代的にいえば多国籍企業のトップみたいな)で、本人に求められる素養も部分的にそれに似てきてると思う。